糖質制限ダイエットは厳しくしすぎると体に悪影響

糖質制限ダイエットがトレンドに持ち上がると、聞きかじりの情報で実践に踏み切ってしまう方も少なくない印象です。
糖質制限ダイエットとは完全に糖質を摂取しない食事によるダイエット方法ではなく、必要最低限の糖質を摂取し、不足したカロリーをタンパク質を中心とした他のエネルギー源で補うダイエット方法です。
糖質制限によって身体の糖に依存した合成経路の傾向が脂質やタンパク質を消費するものに切り替えることによって中長期的に太りづらい身体を作ることが出来ます。
しかし、最低限の糖質、とはいったいどれくらいでしょうか。

一般に言われているのは一日あたり80g程度に制限するとよい、というものです。
本来、糖質はエネルギー源としての働きだけでなくDNAなどの核酸の構成成分、身体を酸化させないようにする抗酸化物質などの種々の生化学物質の産生に関わっています。
それらの産生を抑制してしまうと生命維持そのものにも異常を来たす可能性があり、大変危険です。
特に、抗酸化作用が不十分だと赤血球の膜に傷がついてしまった場合、修復する手立てが無くなるため、赤血球は血液中にその中身をぶちまけて死んでいく、壊血病という貧血症状を示す疾患を引き起こす可能性があります。

また、広義の糖質の中には食物繊維、という成分も含まれます。
便通を良くする栄養素としても知られていると思いますが、食物繊維を摂取する最大の目的は腸内環境の整備です。
食物繊維は腸内細菌のえさとなり、善玉菌とでも呼ぶべき腸内細菌の繁殖に一役買います。

最新の研究では、腸内細菌叢によって痩せやすい身体か、太りやすい身体かが規定されると言われ、一部では腸内細菌叢を移植する試みも温められていると言います。
そのため、ダイエットと腸内環境は切っても切り離せないのです。
ですので、完全に糖質制限を行ってダイエットを行うのではなく、食事による全エネルギー摂取量のうち糖質が占める割合を少しずつ減らすことから始めることが重要です。

長期的な糖質制限ダイエットは危険です

長期的な糖質制限ダイエットを行った場合、糖によるエネルギー産生が出来なくなった身体は脂肪を分解して体内を流通するエネルギーをひねり出します。
糖は脳にとって唯一のエネルギー源、とは言いますがタンパク質や脂肪ばかり取っている場合は外的に摂取することが出来ないので脂肪やタンパク質を転換させて脳でも使えるエネルギー源にします。
それがケトン体です。

ケトン体は糖のように全身を流通するエネルギー源であり、脳も利用できるメリットがある脂肪由来の物質ですが、最大の欠点はこのケトン体が酸性物質である、という点です。
酸性であるケトン体が血液中を流れると、体液は酸性に近づいていきます。

人間の体はpH7.3程度、比較的中性に近いと言われていますが、これがたった0.1でも酸性に近づくだけでも身体はおかしくなります。
血液中に溶け込む二酸化炭素の量が減少するために呼吸の際に行うガス交換にも支障を来たします。
呼吸障害で息苦しさを感じるだけでなく、酸性に傾いた体液中で生体内の様々なタンパク質もおかしな挙動を示します。
こういった生体タンパクは重要な栄養素の運搬役として働いているだけでなく、様々な感染に対する防御機構などを司っています。
それらが障害される、ということの危険性が想像できないわけではないでしょう。

凝固系、というカサブタなどで血を固める物質もある種のタンパク質ですが、これらのタンパク質が酸性環境下で変性してしまうと凝固系が異常に働き、血栓形成のリスクが生じます。
これが末梢の血管を塞ぐと一大事、脳なら脳卒中となります。
たかが糖質制限ダイエット、と取り組んだ結果、知らずに脳卒中のリスクを背負う羽目になっていた、と言われたら笑っていられないでしょう。